2014年07月29日

ワシントンDC(2014年)

 今回のアメリカ訪問は、非常にタイミングが
良いと感じました。

 安倍政権の2年目であり、佐賀空港への
オスプレイ配備計画が突如明らかにされ、
沖縄の知事選挙を秋に控えているという
こともそうですが、日本政府の、集団的
自衛権に伴う新たな自衛権3要件への
米側の見方、中東、極東、ウクライナ情勢
と、緊迫した国際情勢下でもありますので、
日米の持続可能な同盟関係を考察上で、
忌憚の無い意見交換、情報交換が、出来ま
した。

 昨年も同様でしたが、外務省の効率的な
アテンド協力にも感謝です。

 シンクタンク、国務省、国防総省、NSC、
日本大使館、現地プレスなど、日米関係に
深く関係する方々と、沖縄選出の議員として
の要望と情勢を報告し、米国の政策決定者
や知日派から観た、アジア、日本、そして
沖縄を相対的に認識でしたのは、深い学び
でした。

 まず、全般を振り返って思うことは、外交や
安全保障政策は、安定政権でなければ、
同盟国や緊張関係にある国でも、真剣に向かい
合わないということです。

 安倍政権は様々な評価はありますが、小泉
政権以来、8年ぶりの長期政権になりつつ
あります。

 北朝鮮が拉致問題再調査を受け入れたのも、
中国との関係悪化や日本からの支援を引き出す
意図を指摘する声がありますが、それだけでは
なく、しばらく政権を担当する安倍政権と、対峙
していくしかないという現実的な判断があるから
だと思います。

 そして、次に感じたことは、米国側から韓国との
関係改善を強く求められたことです。

 日本にいると、日韓関係を米国がどの様に
認識しているかは意識していなかったのですが、
米国が、アジア太平洋で同盟関係にある、日本、
韓国、フィリピン、タイ、そして、オーストラリアとの
関係において、中国という大国を見据えた際に、
日米韓で、対峙して行きたいスタンスを強く感じま
した。

 これは私だけの印象ではなく、成田行きの帰り
の飛行機で、日米議連の国会議員と挨拶を交わした
際に、彼らの中でも、日韓関係への質問や指摘や
要望が特別多かったことも確認しました。

 その際に最も大きな課題となるのが、従軍慰安婦
問題でした。

 「アメリカは隣国のカナダを含め、16件の領土
紛争を抱えているが、上手く関わりを持っている。
成熟した日本外交が、竹島問題を理由に韓国との
関係が断絶という事はないだろうが、慰安婦問題は
外交ではなく、人道上の、人権という普遍的な問題
であり、五十数人のまだ生存している慰安婦の
皆さんへの対応を注目している」と、ジム・ズムワルト
国務次官補代理から指摘がありましたが、同様の話
は、NSCでも聞きました。

 私が感じたのは、日中関係より、日韓関係の方が、
危機であるというアメリカの認識です。

 来年は、日韓関係国交正常化50周年の節目でも
ありますから、戦後70周年の総理談話も含め、韓国
との関わりは真剣に取り組んでいかないとならないと
氣付かされました。

 日米の持続的な同盟関係のためには、沖縄の負担
軽減は不可欠です。

 全ての面会者に、その旨は強調しました。

 「基地移設や沖縄の基地縮小に関する問題は、
沖縄県と日本政府の問題であり、アメリカ側はアウト
サイダーだ」という、毎回聞かれる返答もありました。

 その一方で、沖縄知事選挙の行方には並々ならぬ
関心を示しており、韓国やフィリピンのみならず、米軍
のプレゼンスをベトナム、マレーシア、シンガポールと
いったアジアの海洋国家と協議を進めているとの説明
もありました。

 米軍関係者からは、「政治的配慮で日本本土に、
オスプレイを分散しても、低空飛行や災害等の実践
訓練は制限されているので、東南アジアにも訓練の
展開を考えた方がよい」と云う意見を聞いたことが
ありましたので、グァム移転を始め、アジアリバランス
政策が、結果として、沖縄の負担軽減にも資する
のは期待できます。

 その一方で、5年以内の運営停止や、在沖オス
プレイの半数、12機を本土に移駐といった要請には、
「訓練移転なら検討できるが、大体移設が完成して
いない時点での基地閉鎖や拠点移転は考えて
いない」と慎重な態度でした。

 ただ、佐賀空港への陸上自衛隊のオスプレイが、
施設環境も含めて整えば、「一つの拠点として検討
すべきではないか」と云う意見と、「訓練移転は可能
だが施設そのものの移転は困難である」と言う声も
あり、佐賀への移設や移転は、「まだ正式に話が
来ていないのでコメントできない」とは言及しつつも、
新たな領域に入りつつある認識を示していました。

 すでに日本でも報道されていますが、5回を迎えた
日米の環境補足協定も、遅くても10月までにはまと
まるとのスケジュール観が明らかにされ、その内容が
従来の地位協定の枠組みより、かなり画期的なことで
あることを示唆していました。

 集団的自衛権に関しては、「日米間の特に、共同
訓練とミサイル防衛の情報共有が一番大きな成果だ」
というコメントが印象に残りました。

 日米の安全保障協力の枠組みが拡大すると、基地
の集中する沖縄にとっては、緊張感が高まることは
あっても軽減されることはありません。

 憲法や国際法との関係における、集団的自衛権論議
も当然重要ですが、日米関係や在日米軍基地との絡み
で論じられる機会はまだまだ少ないと感じています。

 相手との信頼関係もありますので、全ての会談内容は
当然明らかに出来ませんが、秋以降の国会で活用出来
る視座やヒントを学びました。  

Posted by 國場幸之助 at 23:27Comments(0)

2014年07月21日

シンガポール訪問

 本日は海の日です。

 世界で唯一、海の日を祝日と定めて
いる国は、我が国だけです。

 領海、接続水域、排他的経済水域のみ
ならず、多くの有人離島に日本国民が
生活をしているからこそ、水域が守られ
ます。

 海の日だからこそ、離島を含む、
国土と人の関わりも改めて考えるべきだと
思います。

 母校、沖縄尚学高校が、甲子園出場決定
しました。

 改めて、沖縄の高校野球界の層の厚さを
感じます。

 地元での祭り会場をはしごしながら、
夏真っ盛りだと、連日痛感します。

 世界に目をやると、2週間前に訪問した
イスラエルとパレスチナの戦闘が激化をし、
子供を含む死者が400人にも達しています。

 そして、マレーシア航空機の撃墜。

 夏休みということもあり、多くの子供たちも
尊い命を失い、胸が痛みます。

 先週は、シンガポールにいました。

 国会のシンガポール議員連盟としての
訪問でしたが、おもな目的が3つありました。

 まずは、2020年に、シンガポールと
マレーシアで、建設完成が合意されて
いる、両国間の高速鉄道計画に対して、
日本の新幹線を売り込むこと。

 日本のインフラを海外に売り込むには、
文字通り、「総力戦」でなければなりません
ので、その一端を、議連で要請しました。
 
 次の目的は、オープンから4年半経つ、
二つのIR(統合型リゾート視察)、マリーナ・
ベイ・サンズと、リゾート・ワールド・セントーサ
の現状視察です。

 現場を観るだけではなく、シンガポールの
国家開発相や、IRを管轄する副首相兼
内務相から、導入までの国民合意形成過程
や、現状を学ぶ貴重な機会でした。

 あと、MICE型のサンズも、リゾート型の
セントーサも、敷地面積のわずか3%を占める
ゲーミングがあって初めて、世界のマーケット
から資金を調達をすることが可能となり、
MICEやリゾート施設のみでは、収益を保てない
と言及していたことは印象に残りました。

 3つ目の目的は、日本を含む北東アジア
地域友好議連の国会議員との懇親と、
「ミート・ザ・ピープル」という、毎週開催される
国会議員と有権者との意見交換会の視察
でした。

 特に、「ミート・ザ・ピープル」は、夜の9時前
から開催されていましたが、質問者、相談者が
いなくなるまで、会の開催が、深夜にまで及ぶ
ことも有るそうですが、徹底的に、選挙区の声を
拝聴する姿勢には、刺激を受けました。

 一党独裁のエリート支配国家と言うイメージが
ありましたが、土着の泥臭い民主主義を垣間
見ました。

 多民族かつ歴史の浅い国だからこそ、国家と
社会の連帯を絶えず維持する真摯な努力を
続けなければならない訳で、テクノクラートによる
経済政策等のみならず、政治面でも愚直な取り組み
があることを学べました。
  

Posted by 國場幸之助 at 15:26Comments(0)

2014年07月14日

イスラエル初訪問

 台風8号の被害を受けた皆様には、
心からお見舞い申し上げます。

 台風に対しては初めての特別警報
でありましたが、発表の仕方や、避難
誘導等で、今後、多くの課題も見えて
きました。

また、台風再接近の最中での、激励会
には多くの皆様にご参加戴き、心から
感謝申し上げます。誠にありがとうござい
ます。

 今週は実質2日間という短い期間では
ありましたが、イスラエルに行きました。

 外務省の訓令に反して、6000人の
ユダヤ人の命を救った、杉原千畝の
「外交官としてではなく、人間として当然の
正しい決断をした」という本人の言葉が
刻まれたレリーフを、イスラエル政府に
寄贈するのがその目的でありました。

 杉原の命のビザに救われた子孫との
懇親や、国会議員との意見交換、そして、
ホロコースト記念館の中でも、杉原千畝の
功績は高く評価されており、今も、日本と
イスラエルとの深い関係を構築する重要な
人物であることも再認識させられました。

 また、今回は、イスラエルという国を識る
貴重な機会でもありました。

 食べ物、特に野菜類が非常に美味し
かったのですが、国土の6割が乾燥地で、
4月~10月までは雨が全く降らないにも
かかわらず、食料自給率が90%以上も
あるそうです。

 そして、平均寿命も非常に高く、薬や
医療の技術も優れたものがあり、カプセル
式の内視鏡もイスラエルの開発であると
聞きました。

 OECDの中でも、イスラエルは、研究
開発費に掛ける予算の割合が、最も高い
国家であり、ロビー外交でアメリカに深い
影響力を与え続けている国でもあり、
学ぶべき点を多く感じました。

 東日本大震災でも世界で最初に医療
チームを派遣したのもイスラエルですし、
福島の原発事故が発生しても、大使館から
避難せずに復旧に協力し続けたという、
親日的な側面も知りました。

 また、議員や行政との意見交換でも、
「サバイブ(生存)」や「イノベーション(革新)」と
いう言葉が頻繁に聞かれたのも印象的でした。

 また、この点は生涯忘れないと思いますが、
ハマスとイスラエルの、ミサイルと空爆の応酬が
激しくなった時期でもあり、レストランや空港で、
アイアンドームの迎撃ミサイルの命中していた
場面に遭遇したのも、衝撃的でした。

 ピザを食べようとしていたら、「サイレンが
鳴ってます!即、シェルターに避難して下さい!」
と激しくせかされましたが、今思い出しても、ゾッと
します。

 後から聞いたら、ミサイルが発射されて、
私たちが滞在していたエルサレムまで、約1分
30秒で、着弾するスピードだそうで、ガザ地区の
近隣は、わずか、15秒で、着弾するそうですが、
それらを迎撃するミサイル防衛の技術には、凄ま
じさを感じました。

 報道では、イスラエルは無人機で1100ヶ所以上
空爆をし、ガザ地区からイスラエルへ700発以上、
ミサイルが打ち込まれ、迎撃されているとはいえ、
その対象には、原発施設も含まれており、死者が
125人にもなり、地上戦にもなりつつあるという、
深刻な情勢が報告されています。

 今まで、遠くに感じていた中東情勢も、関心が
深まる訪問でした。


  

Posted by 國場幸之助 at 00:32Comments(0)

2014年07月05日

「われ、沖縄の架け橋たらん」

 来週、本を出版します。
 
 有権者から議席を戴き、約一年半が経ち
ますが、日々の課題や日程に翻弄され、腰を
落ち着け、大局、本質、長期の視座で、事態
に対峙する機会が欠落していました。

 今回、縁あって、K&Kプレスから、
「われ、沖縄の架け橋たらん」を出版する
ことになりましたが、そのベースは、
「こうのすけの初志貫徹ブログ」です。

 特に、編集部の中村友哉氏は、私の書いた
全てのブログとほとんどの出版物に目を通して
戴き、粘り強いインタビューと、手厚いご協力を
戴きました。

 私自身の半生と、衆議院議員になってから
の1年半の出来事が、おもな内容ですが、
そのメインテーマは、「尊厳ある沖縄と日本
を構築する為に何をすべきか」という、問題
意識です。

 その目的がどれだけ達成されているか、評価
と批判は世間に委ねますが、少しでも「沖縄と
本土の相互理解に資する」ことが出来れば
幸いです。


⇒『われ、沖縄の架け橋たらん』を購入する  

Posted by 國場幸之助 at 01:41Comments(0)