2023年02月28日

野嶋剛「新中国論」

 大東文化大学の野嶋剛教授をお招きして、
「近づく台湾総統選挙ー日本・沖縄に与える影響」
というタイトルで勉強会をしました。

 野嶋先生の「新中国論」(平凡社新書)は、
シンガポールや台湾の朝日新聞支局長等を
歴任してきたジャーナリストとしての臨場感のある
現場感覚と、アカデミズムの世界での
文献研究に裏付けられた政策提言能力に
溢れた名著です。

 勉強会での講話では、日本人がステレオタイプで
思っている「大陸統一派VS台湾独立派」の構図は存在せず、
民進党も国民党も実態は、「現状維持」であることを
様々なデータを示しながら、繰り返し強調していたことが
印象的でした。

 来年の台湾の総統選挙では、「民進党は独立を志向し、
対立を煽っている」と認知戦、心理戦を展開している中国に
巻き込まれることなく、台湾をエンカレッジしてほしいという
メッセージもありました。

 手帳にもメモしたのが、
台湾は3つの盾を堅持しているとの部分です。

・民主主義の盾 民主主義の貫徹で国際世論を味方につける。
・半導体の盾 経済リアリズムを軸に現状維持論を広げる。
・日米同盟の盾 台湾海峡情勢に影響力を持つ日米を味方につける。

 台湾と国交を結んでいる国は世界に15ヵ国ありますが、
特に太平洋諸島の諸国は、日本にとっても死活的に重要です。

 今春には南米唯一、台湾と国交を結んでいるパラグアイの
大統領選挙があり、左派の候補が当選した場合、国交を中国に
変更という報道がありましたが、

 国際社会で安定した存在を保てる様、出来ること、やるべき事に、
取り組みたい。





   

Posted by 國場幸之助 at 15:11Comments(0)

2023年02月28日

薬剤耐性問題に関する議員特別勉強会

 コロナ禍の次に来る人類の脅威といわれる
薬剤耐性問題とは、既存の抗生物質が効かなくなり、
高齢世代や抗がん剤を受けている方々の
治療環境の根幹を揺るがす由々しき課題です。

 近年は、エイズやマラリヤより死亡数が増え、
また、研究開発が大幅にかかる点から、
新たな抗菌剤の開発も大幅に遅れ、
代表的な抗菌薬の製造拠点がインドと中国に
集中し、また我が国にある抗菌剤は大部分が
中国製という実態もあるといった様々な点からの
課題を認識しました。

 そして、この分野の対応には、「ワンヘルス」、
つまり、人間と野生動物、家畜、農林水産、
そして、生態系と地球環境をひとつの体系として
捉え、対策に取り組み重要性も再確認しました。

 人への感染症の大部分は野生動物から
感染しています。

 森林の伐採等で、野生動物と家畜と人間社会の
生活空間が近づき、重なり、また、移動に伴うウイルスの
変異も含め、様々な感染源が急増しています。

 抗生物質の開発支援、途上国を含む人類全体での
取り組み強化という問題意識も、G7議長国の
国会議員の一人として、知見を深めていきたい。

   

Posted by 國場幸之助 at 10:02Comments(0)

2023年02月25日

ロシアのウクライナ侵略から1年

 ロシアのウクライナ侵略から一年経ちました。

 尊い命が失われ続ける事態を一瞬でも早く
解消できるように、決意と思索と行動を継続します。 

 ウクライナ侵略が発生した教訓という趣旨の
防衛省が説明の際に活用するペーパーでは、

・ウクライナはロシアに侵略を思いとどまらせる
 十分な防衛力を持っていなかった。
・同盟国を有さず核の傘にも守られていなかった。
・脅威は「意図」と「能力」だが、「能力」に着手した
 備えが無かった。

といった内容ですが、それは我が国にも当てはまる
貴重な教訓です。

 同時に、現状から学ぶべき点も何点かあります。

・まず、究極的に国を守るのは、指導者と国民の紐帯、
 そして祖国を守り抜くという国民の意識と国家の覚悟。
・武力的な侵略の早い段階から、サイバー攻撃や、
 認知戦が激しくなっていた。
・核保有国には、対処が限定的にならざるを得なくなる。
・一国で国を守り抜くことはできない。同盟国と価値観を
 有する諸国との不断の関係構築強化は、死活的に重要。
・サイバーやドローンといったハイブリット戦の本格化。
・ミサイル対応と地下シャルターの重要性

など、思いつくだけでも多岐にわたります。

 日本から見えにくい国際政治の複雑な点もあります。

 ロシアと結びつきが深いインドの動向。

 北朝鮮や中国のロシアとの連携。

 アジア諸国で、ロシアに経済制裁等をしている国が、
 日本やシンガポールなど、極めて限定されていること。

 そして、国連総会で反対票や多くの棄権票(例えば
昨年11月の「侵略に伴うあらゆる損害の賠償要求」決議
には73ヶ国が棄権)が、ロシアへの制裁決議で生じている。

 という点は世界の分断化が進んでいる事を顕示しています。
 
 本年はG7の議長国。

 ロシア対応への我が国のリーダーシップは問われる年でもあり、
台湾有事で同様のことが生じさせない固い決意が求められる。

 性根添えて取り組みます。

 
 

 


   

Posted by 國場幸之助 at 10:47Comments(0)

2023年02月07日

中国偵察気球撃墜事案

今朝は、外交部会・国防部会・外交調査会・
安全保障調査会合同会議がありました。

会議の冒頭には、調査会長、部会長の挨拶が
ありますが、
小野寺先生からも、私からも、今月2日、
バーンズ米中央情報局長官が、
「2027年までに、習近平国家主席が台湾侵攻を
断行できる準備を整えるように、人民解放軍に
指示したという情報を入手したことを公表した」という
報道に言及しました。

先月の合同会議に、デービットソン
前インド太平洋軍司令官の講演を行いました。

その際にも、「2027年までに、中国による台湾侵攻の
リスクが、形態は特定できないが高まっている」という
前司令官の指摘がありました。

我が国に残された時間は余りないという危機感と
当事者意識を高め、備えをする必要性をより自覚しています。

本日の議題では、米国による中国の偵察機撃墜に
質疑が集中しました。

1月28日にアラスカ周辺で気球の存在を確認し、
31日にはモンタナ州の大陸間弾道ミサイルを運用する
マルムストローム空軍基地上空に来たことから
偵察気球と判断したものと思われます。

2月1日にはバイデン大統領が撃墜命令を下していましたが、
中国の偵察気球はカナダ西方からアメリカ大陸を横断し、
東南部のサウスカロライナ州沖で、F―22が、
空対空ミサイルで撃墜したのは2月4日になっておりました。

早期の撃墜を追求する声がありますが、
気球には、5トン近い、バス3台分ともいわれる器材、
太陽光パネル等が備えられていると見られており、
アメリカ大陸上空で撃墜すると地上への危険性が
高いとの判断が米空軍にあったものと思われます。

 そして課題は、仮に、我が国領空で、同様なことが
起きた際、我が国は撃墜できるのかという点です。

 自衛隊法84条には、領空侵犯に対する措置、
つまり、法令違反した外国の飛行機が
我が国の領空上空に侵入した際には、
自衛隊の部隊に対し、着陸や撤退させるための
必要な措置を講じさせる事が出来るとしています。

 そして、ここでいう飛行機には、無人機も気球も
含まれるとし、必要な措置には武器使用も含まれます。

 しかし、気球は高高度を飛行しますし、
領空外側の防空識別圏での実力行使は制限があります。

 対象が無人機の場合はどうなるのか、また、
スタンドオフ防衛能力向上で各国がせめぎ合う時代に、
領空や防空識別圏や互いの通報体制等や現行法は
現状に対応できるのかなど、
疑問と課題が山積しているものと判断しましたので、
合同会議の議題の締めの際、
私の方から、部会長として、
「このテーマを中心とした勉強会等の開催を検討します」と
引き取らせて頂きました。

 改定防衛3文書でも、無人アセットの存在は、
活用にせよ、対応にせよ、
重要課題として位置付けています。
  

Posted by 國場幸之助 at 21:26Comments(0)