2019年03月13日

関税制度改正案

 関税制度改正案も、財務金融委員会の
審議事項でした。

 私の地元、沖縄地区税関は、全国9つある
地区税関の中で、唯一の単一県での単一地区
税関です。

 那覇空港は24時間空港で税関支署の最も忙しい
時間帯が、夜中の2時、3時というのも沖縄税関の
特徴で、東西1000キロ、南北400キロの広大な
海域に、有人離島が37ありますが、税関支署、
出張所、監視所があるのは、石垣、宮古、与那国
のみで、128の港湾と漁港、13の空港を持つ
島嶼県にとり、税関機能のない地域や島々への
水際対策は重要な課題です。

 また、外航クルーズ観光客数が日本一になった
一方で、クルーズの税関施設の整備も課題です。

 特に、官民連携クルーズ拠点港に選定され、
2020年4月から運用開始予定の本部港が、
CIQ施設整備の遅れで、運用スタートの時期が
遅れる懸念が出ています。

 旅客ターミナルビルを整備し、運用を担うゲンティン
香港は、CIQの常設を求めていますが、20年の
寄稿数目標が88回で、検疫港としては100回以上の
寄港が必要であるとのことですが、税関や出入国管理
も常設の為には、寄港数などの条件があるでしょうが、
この点を明らかにし、早急に課題解決に努めないと
いけないと考えています。

 また、今年10月の消費税増税を目前にして、
金地金(きんじがね)の密輸が、懸念されます。

 前回の改正で罰則を強化し、沖縄の特徴としては、
クルーズ客の金、または、麻薬、銃、武器の密輸が、
増えており、その対策が急務です。

 そして、金地金、麻薬、危険物の摘発を、機動担当
職員が旅具検査官と連携して、疑いのある人物を
摘発するケースと、旅具検査官が事前情報なしで
摘発するケースの割合をデータとして把握し、
密輸容疑者を見抜き、摘発する際に必要とされる、
税関職員の経験と直感という暗黙知の継承も課題です。

 麻薬犬や、検査機器の最新化、高度化だけでは、
それに反応しない密輸品の摘発は困難だからです。

 また、沖縄地区税関職員からの聞き取りでは、
金地金の密輸は、税関を通り抜けること以外に、瀬取や
GPSをつけた防水パッケージを兼ねたうきわ等、
あらゆる形態が予測され、税関職員だけの取り組みでは
困難であり、地域の漁業関係者や海上保安庁、観光業と
連携した警戒監視体制の必要性にも言及していました。

 そして、4万5000人から5万人いるといわれる、
米軍、軍属、その家族の税関対応も沖縄県では重要な
案件です。

 日米地位協定の第11条では、米軍の関税検査の免除に
関する条文があります。

 日米合同委員会の合意議事録には、「米軍は、その
持ち込みが関税法規に違反するような物品が軍人軍属
その家族によって、またはそれらの者のために輸入されない
よう実行可能なすべての措置をとるものとするとともに、
違反が発見されたときは、速やかに、税関当局に
通知すべき旨」を規定していますが、
原則、関税検査免除の米軍人等を、どのようにして、
持ち込み違反を発見する術はあるのかは課題が残ります。

 過去に摘発された事例も含め確認が必要です。

 また、今回は、沖縄にかかわる関税制度上の
特例措置(選択課税制度)が、適用期限を2年延長する
案件も含まれています。

 2年前にも延長され、その前は5年間の特別措置でした。
5年から2年に期限が短くなったのは、「より細かな沖縄の
経済状況を踏まえて検証をしたい」からだと、議事録に
残っていますが、この特別措置は適用事例がありません。

 どのような課題があるのか。

 国家戦略としての沖縄振興の一環で、この措置も
存在している以上、また、2年前の委員会答弁にあった
ように、2年間の検証の結果、何が分かったのか、課題を
どの様に認識し、その解決に取り組んできたのかを
明らかにしないといけません。

 また、関税率票の分類の話ですが、同じ品目でも基本税率
が変わるケースがあります。

 例えば、たこ焼き。

 たこ焼きを、魚介類で分類すると、調製品として9.6%ですが、
小麦粉なら21.3%となります。

 この場合は、たこ焼きのタコの重さが、20%を超えるか
どうかが、魚介類か小麦粉かの分岐点らしいですが、
他にも、曖昧な品目はあるのではないかと思います。

 そして、港湾局が要求する、とん税、特別とん税の見直しは、
昨年11月6日の、関税・外国為替等審議会 関税分科会でも、
議題となっており、今後の検討事項ですが、約220億のこの
税収は、都道府県の一般財源となり、自治体にとっては自由に
使える貴重な財源である一方で、港湾機能の競争力をつける
ためには、見直しの声があるのも事実です。

 関税自主権の獲得は近代化の軌跡でもあります。

 御世代わりのこの時期だからこそ、探求する価値があると
考えています。

Posted by 國場幸之助 at 22:36│Comments(0)
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