地球儀を俯瞰した日米豪印関係

國場幸之助

2021年03月15日 22:48

先週金曜日の、日米豪印の初の首脳会談は、
歴史的な一日でした。

 安倍総理がケニアで提唱した
「自由で開かれたインド太平洋構想(FOIP)」の
基軸国である4ヶ国で、初めて首脳間が予定時間を
大幅に上回る会談となりました。

 が、気になる点もあります。

 成果の一つに、ワクチンパートナーシップがありますが、
国際的なワクチン接種を支援するCOVAXの取り組みを
補完する緊急無償資金協力が、
東南アジアと南西アジアと太平洋諸島に限定されている
点です。

 私は、FOIPは、地理的な概念とは考えていません。

 確かに、FOIPには、急速に覇権化する中国を封じ込める
役割と、国際社会に中国をソフトランディングさせる素地の役割を
果たしていますが、自由と民主主義、法の支配と人権という
普遍的な価値を尊重した国家間の関係の構築は、
世界中どこでも必要な理念です。

 私は、日系人社会も多くいる、南米のパラグアイも懸念しています。

 パラグアイは南米で唯一の台湾との国交関係の故、
中国からの激しい締め付けを受けています。

 中国との絡みで、日米豪印が連帯しているのなら、
アジア太平洋という枠組みを超え、地球儀を俯瞰し、
中国の覇権主義に抑圧されている諸国の支援も必要です。

 日米豪印、のちのFOIPの構想も、第一次安倍内閣の
2007年から事務レベル対話がスタートし、
第2次安倍内閣の下、2017年から局長級会談が行われ、
2019年に最初の外相会談があり、今回、首脳会談と
結びつきました。
 
 外交戦略とは息の長い時間のかかる実践です。